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旅先で見かけた外人さんと緊張の同席

 入れたお茶をふたりの前に置いてあげると、すこし驚いた顔の後に「ありがとう」と日本語で言ってくれました。そして、その後、勇気を振り絞り話しかけてみると、お茶を入れてあげた事で少しふたりも緊張がほぐれたのか、笑顔で話しをしてくれるようになりました。
 ようやく話しかける事に成功した私は、もちろんドイツ語なんて喋る事は出来ませんでしたが、片言の英語で少しの時間、交流を持つ事に成功したのです。とは言え、彼らは学校では日本の事について学んでいたらしく、日本語も少しだけ理解してくれたので、私のヘタクソな英語よりも日本語での会話の成り立つ方が多かったようにも思います。
 聞いていくうちに分かったのは、ふたりは学生で卒業前の論文のようなものの題材に日本を選び旅をして勉強をしているという事です。この先はまだ旅も続き、日本をおおかた一周するつもりでいるらしいのです。しかも出来るだけ費用を削っての旅なので時々ヒッチハイクをして移動している、なんとも強い旅人だったのです。
 次の日の朝食は夕べの交流もあったせいか、テーブルに着くなり「おはようございます」と彼らが言い、どういう訳か私は「グッドモーニング」と言う、自分でも可笑しかったのですがお互いに気を使い合うというのはこんなところで現われるものなのだろうと感じました。
 宿を出発する時間になりました。ドイツからやって来たふたりも旅たちの時のようでした。私のところにやって来て、あとひと月ほど日本にいるけれど、それから先はこの住所にいるからとメモにしたドイツの住所を渡してくれました。私も自分の手帳を切り取り住所を書いて渡し別れたのです。
 私はこれが最後の一人旅で翌年には結婚するだろうという時期の旅でしたので思い出になる出会いを経験できたのがとても嬉しかったのです。結婚してからの旅も楽しい事が沢山あるでしょうけれど、時々する一人旅は、意外と仲間でする旅よりも外に向こうという意思が働き、よい経験も得る事が出来るので大好きでした。

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